【思い立ったが吉日】思いを伝えたい。だから、真剣に考える。

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今回の【思い立ったが吉日】は、思いを伝える、ということをテーマにしてみようと思います。

私が好きな雑誌に、さまざまなジャンルのスポーツを掘り下げて伝える専門誌があります。ちょっと前になりますが、その特集で高校野球が取り上げられていました。表紙を飾っていたのは、覚せい剤の所持・使用で逮捕されてしまった大物スラッガーの高校時代の勇姿。その表紙を見て、「えっ、マジで?」と思ったのが正直なところでした。その特集の内容が、表紙を飾った大物スラッガーがいかにすごい選手だったのか、を伝えるというもの。彼は高校時代に甲子園で13本のホームランを放っているのですが、それを打たれた投手やそのチームに所属していた選手たちにインタビューをする、という企画になっていました。

打たれた投手やチームの選手たちの記憶は、どれもこれも鮮烈でした。他の打者だったらセンターフライぐらいだろう、と思った打球がまったく空から落ちてこず、そのままスタンドに吸い込まれてしまったというような記憶を語っているかつての高校球児たち。彼らの語る言葉もすごかったですが、そんな鮮烈な記憶を鮮烈なままに文章にして、記事を構成している記者や編集者の人たちもすごい、と思えるような内容でした。中にはこのインタビューまで、当時の記憶を誰にも語ったことがない、というかつての高校球児もいました。そんな人にインタビューを承諾させ、語らせた熱意はこれまたすごい、の一言でした。

その企画の流れで、大物スラッガーの高校の後輩たちからもインタビューを取っていました。彼らはプロ野球でも活躍し、現在も解説者やコーチとして野球に携わっている人たちでした。そんな彼らから、大物スラッガーの背中を追いかけて、努力を重ねたという話が引き出されていました。そんな記事を読みながら、今でも公の場で活躍を続けている人たちが、ともすれば世の中から疎まれてしまうようなことをやってしまった大物スラッガーのためにインタビューを受けるというのは、批判を受けてしまう可能性だってあるんじゃないかと、勝手に心配をしてみたりもしました。

この特集記事に関連して、その雑誌が開設しているWEBサイトで、アナザーストーリー的な記事が掲載されていました。この記事を企画した編集者は、大物スラッガーが甲子園で活躍していた時にちょうど受験を控えていて、勝手に彼がホームランを打ったら自分も受験に受かる、と願かけをしていたのだそうです。彼は夏の甲子園の決勝でホームランを打った、というラジオの実況をその編集者は耳にしたそうで、さらに「もう一本打ったら、間違いなく受かる」と願かけをかぶせたところ、彼は二本目のホームランを打ったのだとか。そんな青春時代の思い出をバックボーンに、逮捕されるという事態に陥った彼のことを、本当はすごいヤツなんだ、野球に関わっていてこその彼なんだ、どうか彼に復活してもらいたい、という思いを込めてこの特集記事を企画した、という話がその記事には書かれていました。

決して、大物スラッガーがやってしまったことは許されることではありません。そんな彼を擁護することは、私もしません。しかしながら、そんな彼は同時に、多くの人を魅了する大物スラッガーであったことも事実であり、その多くの人たちが今を生きる上で、彼に魅了されたことを生きる糧にしていることもまたゆるぎない事実だったりするのです。

この記事を読み終えて、私は心底、彼に更生し、復活してもらいたいと思いました。そんな気持ちにさせる記事を企画した編集者や、記事を執筆した記者、そしてそのネタを提供したインタビューを受けたかつての高校球児の方々の、思いを伝える力を感じました。

どんな仕事でも、思いを伝えることは大切だと思います。そしてその思いの強さは、伝えようという気持ちのもとで、どうやったら伝わるのかを真剣に考えたかどうかで変わってくるものだと思います。そして思いが強ければ強いほど、伝わるものだと改めて思いました。

私たちGFCも、強い思いを持って、それを伝えるためにどうするかを真剣に考えることを、怠らないようにしていきたいと決意を新たにしています。

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