
はじめに
RPAの勉強を始めてしばらくしてから、別の部署の業務をRPA化してほしい、という依頼がありました。
GFCでは、まだ「お試し運用中」のため、これまで自部署の業務をRPAで自動化してきましたが、上司が他部署に働きかけてくれたことで、他部署の定型業務の自動化に取り組めることになりました。
RPAを導入するとき、システム提供会社の担当者様からアドバイス頂いたのは、「まずは小さな業務からRPA化してみてください」ということでした。
システムの使いかたに慣れないうちに、壮大な業務をRPA化しようとすると挫折してしまいがちなのだそうです。
「せっかくだから一番大変な業務を自動化したい!」という気持ちはわかりますが、1つ1つ小さな業務でシナリオを作成することに慣れていくことをお勧めします。
そういう意味では、今回のシナリオ作成業務は、最適だったかなと思います。
もくじ
2.シナリオ事例その1:WEBシステムからファイルをダウンロードしてメールで報告する
1. 小さな仕事も、繰り返せば膨大な時間になる
今回は、システム担当部門からの、RPA化の依頼で、毎月実施していている下記のような業務を自動化したいとのことでした。
毎月15日になったら、WEBシステムにログインし、請求書と領収書をダウンロードして、特定のフォルダに保存し、保存したことを別の部門の担当者にメールで連絡する
[こんな小さな業務を自動化しても・・・]と思われるかもしれませんが、分解してみると、意外といろいろなことを実施しています。
・15日かどうか確認する
・WEBシステムにログインする(URL、ID、パスワードが必要)
・請求書のダウンロードページに移動する
・請求書をダウンロードする(特定フォルダを指定)
・領収書のダウンロードページに移動する
・領収書をダウンロードする(特定フォルダを指定)
・メールソフトを開き、メールを書いて送信(件名、本文、宛先、保存先URLを記入)
この業務に慣れたベテランが実施するのか、覚えたばかりの新人が実施するのかによっても、作業時間は変わりますが、例えばこの業務を5分で実施していたとしましょう。
これが毎月発生するので、
5(分)×12(ヶ月)=60分
1年間で1時間、他の仕事ができるということになりますね。
これだけだと「たいしたことない」と思われるかもしれません。
でも、もしこの業務を実施するのが[必ず15日]だとしたらいかがでしょうか。
・15日に担当者が休んだら?
・15日が祝日だったら?
RPAで自動化しておけば、このような問題も解決できてしまいます。
また、月に1回の業務ではなく、1週間に1回発生する業務だとしたらいかがでしょうか。
5(分)×4(週)×12(ヶ月)=240分=4時間
約半日、別の業務ができる計算になります。ビジネスマンにとっての「半日」は貴重ですよね。
[小さな業務]も、繰り返し行われるのであれば、実は膨大な時間をRPAで節約できるのです。
それでは、具体的にどのようにシナリオの作成を進めていったのかをご紹介いたします。
2. シナリオ事例その1:WEBシステムからファイルをダウンロードしてメールで報告する
シナリオ化するにあたって、私は下記のような手順で進めて行きました。
(1)要件をまとめる
まずは、下記のような内容をアリングし、明確にしました。
・現状どのような手順で業務を実施しているか
・ゴールをどうしたいか
・ゴールに到達させるための条件は何か
・要望 など
(2)ゴールを決める
ヒアリングした内容をもとに、ゴールを決めて、依頼部署と共有しておきます。
ここでズレがあると、せっかく作っても「使われないシナリオ」になってしまうため、実際に業務を行っている部署や担当者と共有しておくことが重要です。
今回のゴールは、下記の2点でした。
①指定されたWebシステムにログインし、当月の請求書PDFと
先々月の領収書PDFをダウンロードして、指定されたフォルダに保存する。
②①のフォルダに保存したことを関連部署にメールで連絡する。
実は、最初に依頼内容を聞いたときは、請求書や領収書はフォルダに保存するのではなく、
メールに添付して関連部署に送る、というお話でした。
しかし、ヒアリングを実施していく中で、せっかくなら、送付先の部署がアクセスできる場所に保存しておけば、
添付されたファイルを保存する手間がなくなる、ということで、上記のようなしくみを作ることになりました。
(3)必要な情報や事前準備事項を洗い出す
次に、ゴールに到達するために必要なことを洗い出します。
例えば今回で言えば、下記のようなことです。
・Webシステムのログイン情報
・請求書や領収書の保存フォルダの場所
・請求書や領収書の保存時の名称
・関連部署に送るメールの内容(タイトル、本文、宛先、送信タイミング)
・処理を実施するタイミング など
今回のRPA化を進めるにあたり、情報システム部には、請求書や領収書を保存するフォルダを用意して、情報システム部と関連部署とRPAシステムがアクセスできるようなアクセス権をつけてもらい、メールが送信できるように準備をしていただきました。
(4)手順(作業の流れ)を決める
シナリオ作成前に、作業の流れを明文化します。
箇条書きで手順を書く、という方法もありますが、私は、業務フロー図を書くようにしています。
業務フローは長文で書くとわかりにくいため、嫌でも短いステップにわけることになります。
そのため、作業を分解しやすく、シナリオにも反映しやすいので、お勧めです。
今回の大まかな流れ(業務フロー)は、下記のような感じでした。
1.WEBシステムにログイン(URL、ID、パスワードが必要)
↓
2.請求書のページに移動
↓
3.請求書をダウンロード(特定フォルダを指定)
↓
4.納品書のページに移動
↓
5.納品書をダウンロード(特定フォルダを指定)
↓
6.メールを送る(件名、本文、宛先固定)
<One Point!>
手順を決めるときにとても大切なことがあります。
それは、「イレギュラー処理を含めない」ということです。
私はこれまで、さまざまな部署の担当者から、多くの業務についてヒアリングを行い、業務フローやマニュアルを作成してきました。
その経験から、業務に精通している人にヒアリングを行うと、イレギュラー処理がたくさんあがってくる、ということがわかりました。
でも、イレギュラー処理をすべて1つのフローに組み込むのは、効率がよくありません。
なぜなら、イレギュラーの内容によって対応方法もそれぞれ異なることが多いため、シナリオが複雑になり、動作チェックも、メンテナンスも、やりにくくなるからです。
そのため、まずは、「何も問題が発生しない場合のシンプルなフロー」を明確にし、RPAで実行できるようにすることを目指すとよいと思います。
イレギュラー処理については、最初のうちは、発生時に内容を確認して人間が対応し、発生する条件が見えてきたら、対応フローを作成してシナリオに落とし込んでいくとよいでしょう。
RPAツールでは、基本のシナリオから別のシナリオを呼び出すこともできますので、別シナリオでイレギュラー処理を実行するようにすれば、基本の処理が複雑にならず、メンテナンスもやりやすくなります。
まずはシンプルに、基本の手順が正常に完了できるようにすることを目指しましょう。
(5)シナリオを作成する
いよいよ、シナリオの作成開始です。
(4)の流れに沿って命令を作成していけば、基本的なシナリオは完了です。
実際には、「ブラウザを起動する」「フォルダを開く」など、ひとつひとつの操作をRPAで指定してあげる必要があるため、(4)のようなシンプルなシナリオにはなりません。
業務を全く知らない新人さんに教えるように、ていねいにひとつひとつの手順を作成していきます。
続きは、次回「その2」をお楽しみに!
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